オウンドメディア開発における「WELQ問題」をおさらいする

昨年末に世間を騒がせたキュレーションメディアにおける記事の粗製乱造問題。
問題の発端となったDeNA社の「WELQ」等のメディアに限った話で済まず、サイバーエージェント、リクルートなどインターネット大手企業のメディアが相次いでサイト閉鎖や記事非公開などの対応をしました。
著作権に関する話題や社会問題としての整理は既にいくつも提起されていることと思いますので、少し時間も置いたところでSEOやオウンドメディア開発という現場目線での振り返りをしたいというのが本稿の趣旨です。
実際に、現場の声としては、DeNAのコンテンツがなくなったことで記事の検索順位が上がったから今のうちに稼いでおこう、なんてものも少なくないわけですので、結局は何も変わらないいつもの日本のありがちな光景だね、で終息するという印象も強くなってきました。

■ 「記事を粗製乱造するのが問題」という問題をおさらいする

今回の問題の中心は、「コンテンツを安価に大量生産」することで自然検索トラフィックを獲得し、アフィリエイトも含めた広告収益を安定確保しビジネス展開するという手法の実効性が、広く認知されたことで、多くの事業者(しかも上場企業まで)が同様のビジネスモデルに参入したということでした。
特に、DeNAのWELQでは「記事製作マニュアル」までがリークされさらに叩かれ続ける要因となりました。

マニュアルの是非というのは本稿の趣旨ではないですが、例えば記事のボリュームを4000文字を想定することであるとか、多くの内容は筆者自身もよく提案する内容であったことは付記しておきたいです。
そもそも多くのメディア運営において、Google検索のアルゴリズム変化を踏まえて施策しメディア収益化(マネタイズ)を図るということそのものは、言わば「あたりまえ」の視点でありました。
そのうえで、何が問題であり、(オウンド)メディア制作は今後どう進めるべきかということを考えていきたいのです。

そもそも「コピーコンテンツ」は検索結果にどう反映しているのか?

Googleはコピーコンテンツに対して、検索結果に反映させないという対応を既に行なっています。例えば、「ドメインが異なるだけで同じ情報が記載されているページ」がたくさんあって検索結果の1位から10位までがその情報で埋め尽くされてしまったら、この検索結果に対してのユーザー満足度は著しく低くなります。

したがって、Googleは「コピーコンテンツ」を等しくはじき出して、検索上位にならないようにプログラムしています。これは「パンダアルゴリズム」と呼ばれ、およそ半期程度ごとにアルゴリズム更新もされています。

Google検索をハックした? ということが問題、とされる問題

大雑把ではありますが、Google検索の上位を取得するために必要な視点は何かというと、当のGoogleが以前からはっきりと答えを示してくれています。
「ユーザーがより満足するコンテンツであること」という1点に尽きます。
先の「パンダアルゴリズム」に加えて、いわゆる質の低いコンテンツを排除するための「ペンギンアルゴリズム」「ハミングバードアルゴリズム」というものも数年前に発表されています。

「ユーザーが満足する」という意味は何かというと、
・検索結果から、正しくクリックされること
・直帰されないこと などと考えられるのですが、
こうした数値は、検索結果に反映していると当のGoogleは表明しています。

「何か情報を知りたい」という検索をユーザーがしたら、「もっと知りたい」という意識が働くのがあるべきユーザー行動です。
「その分野について豊富な知識を持っている人たちに聞きたい」というユーザーの意向から発想されメディアとして誕生したのが、まさにキュレーションメディアでした。

結果として、
・「コピーコンテンツではない」
・「大量のコンテンツを持つことで、クリック率の高い」
コンテンツが成立し、検索上位を占めることになりました。

「質の高いコンテンツを作る」という命題自体は、コンテンツメーカーからすればこれも「あたりまえ」の事実であることを思い知らされます。
いわゆる旧来のコンテンツメーカーと今回の各社の体制の何が異なるかという点が最重要なのではないか。その事実こそが「粗製乱造」の正体でした。

つまり、
・クラウドソーシングサービスを活用して、恐ろしく低価格で記事を作成する
・マニュアル化して、大量生産体制を築く
の2点です。

では、メディア運営者とライターの今後の取り組みかたはどうあるべきなのか

この問題が報じられるようになって、オウンドメディアの企画をペンディングにした、というお話を多く聞いています。
もともと、筆者自身もオウンドメディアの企画ごとに関しては、「コスト負担を軽減する体制を築いて進めましょう」という提案をしていました。
だからこそ、クラウドソーシングサービスも活用していますし、同じように編集プロダクションのライターやディレクターの方々にご協力いただくこともありました。

年末の報道が盛んな折には、ある新米ライターさんから「犯罪に関わったみたいな感じさえする」という率直な嘆きを聞きました。この社会の常として、弱いところにしわ寄せがいくという、いつも通りのシナリオが見えて残念です。

健全なwin-winを築くためにできることはなんだろう?

結論は既に明らかなのです。
「質の高いコンテンツを作る」こと。

そのコンテンツを見つけてくれたユーザーが満足できるコンテンツであること。
Google検索の問題として、今回の問題をまとめれば、
ユーザーが満足できない状態にあるコンテンツが上位を占めていたことが問題だ、とまとめることができます。

1月末現在、Googleから該当のアルゴリズムの更新をするというような発表はありません。Googleは典型的な外資企業ですので日本の文化的な問題には積極的に対応していないのが現状である、という個人的な認識もありますが、それ以上に今後の更新に大いに期待をしています。(※)

Googleは現在AIの導入に積極的です。Google Suite然り、Google Analytics 然り。Web解析者の目線からすると、GAに導入されている「Assistant」というメニューについてはとても面白いと感じています。
近い将来、このAIが長文読解能力を持ち検索結果に反映させるという想像もできるのかもしれません。

※ 2017.02.04 追記:昨日、Googleから日本向けのアルゴリズム更新が発表されました。思ったよりも今回の対応は早かったです。
日本語検索の品質向上にむけて

その前に、制作者である私たち自身ができることは何でしょうか?

理想だけを語れば、
1.役に立つ情報がたくさんあるがSEOが弱いサイト
2.あまり役に立たないがSEOが強いサイト と2つのタイプのサイトを比較した時に、1.のサイトの収益の方が上回る社会であることが望まれます。

社会に有益なITコンテンツを提供したいと常々お話をしていますが、例えば上記のような場面ではSEOのテクニックは極めて有用です。
・コンテンツの企画編集
・Webマーケティング
・コンバージョン改善
など、その場合の振り幅も大きくなりますが、ケースバイケースに応じて正しい施策を繰り出すことが肝心です。

それは、SEOテクニックに限りません。
制作者自身が、win-winの一端を担える環境が改めて生まれることを願っていますし、また筆者自身そのような体制づくりに貢献してまいりたいと思いを新たにするものです。